人農地プラン部会

人農地プラン部会

人・農地プランとは『農業者が話合いに基づき、地域農業における中心経営体、地域における農業の将来の在り方などを明確化する』というもので、農林水産省が推進する取り組みです。それを、島田地域の農家自らが率先して解決していこうと立ち上がったのが、この部会です。

本来は国策である人・農地プラン。しかし実際に畑で起きていること、そこに暮らし日々働く人たちの人間関係を含めた事情は、行政ではなかなか全景を把握できづらい。当事者だからこそわかることも、できることもある。待っているだけでは進まない、動きやすくするために設立されました。

具体的には土地の権利者全員の合意をとって、綺麗に整地して茶畑を運営する、というのが主な流れ。その調整や話し合いなどの陣頭指揮を取るのが役割です。代々受け継がれてきた農家の大切な資産である畑を整地し、事業のあり方を組み立て直す。地域での信頼は不可欠であり、責任もプレッシャーも非常に大きな立場です。

発起人で現副会長の鈴木聡さん
「皆さんの大切な畑ですから、話し合いもとても気を遣います」

茶畑の場合、苗を植えてから収穫ができるのは早くても4~5年後。そして、お茶の木は手を入れ丁寧に育てれば40年以上もつもの。整地は若い世代を中心に長期的なビジョンを持って、お茶農家をこの先何十年と続ける覚悟で始める、一大プロジェクトなのです。

「自分たちの親世代が小さな畑を大事に育ててきた。でも農家が農家だけではやっていきづらい時代になって、次世代が継いでいけなくなって来ています。

かつて、親の世代では100人でやっていた畑作業を、今では同じ広さを30人で回さなければならない。効率や作業性をアップしなければ、続けていけないんです。そこを見越して整地して、無理なく事業を継続できるようにしていく。地域の産業としても守って行かなければという思いもあります」

切山地区の見渡す限り整然として美しい茶畑。このエリアの畑は静岡空港の建設に伴い整地され、20年ほどが経ちました。

「この茶畑、きれいでしょう。こういう美しい畑を作るために続けています」

茶畑は所有者が各々木を植えると、畝が入り組んで、手入れも刈りも手間がかかる。高齢化や後継者不在の畑が放置されれば、さらに周辺の畑にも悪影響が出てしまう。ジグソーパズルのように入り組んだ土地を、井形のように再造成することで、なるべく少ない人員で効率よく作業ができるようになる。それが整地のメリットです。

「土地というハード面、人というソフト面、そのマッチングをするのが我々の役割です。他の地域でも整地の話が上がればアドバイスもしていますよ」

資産を継承するためにも綺麗に100%土地活用できるように。現代にあったカタチにして、事業を続けていけるように、と心を配ります。
「これは今の時代、農業だけでなく地方のなりたち、土地管理にも繋がる話だと思いますよ」日頃から広い視野で地域を見ている鈴木さんならではの言葉です。

現在も島田市内各所で茶畑の整地が進んでいます。人農地プラン部会が手がける取り組みは、まさに島田の農業の未来をつくる仕事と言えます。