経営マネジメント部会

経営マネジメント部会

農家の集まりでありながら”経営”とは…?一見意外に思える部会名ですが「農業経営」に向き合う部会です。
農業というと、作物の栽培技術がすべてだと思いがちです。多くの方が農家といえばこちらを思い浮かべるのではないでしょうか。天候や気温など自然環境に大きく左右される農業は、どれだけ効率よく良い栽培ができるかが肝になるわけですが、それだけでは成り立ちません。栽培技術と同時に「管理技術」も重要なのです。

これまでは栽培技術を高め出荷量を増やすことを目指してきた時代でした。しかし、これからの農業はそれだけではいけないのではないか。農家のプロを追い求める栽培技術と、無理なく効率よく継続していくにはどうすべきかという経営者としての管理技術、この両輪がバランスよくあることが農業の美しい姿である。そう考えて生まれたのが、経営マネジメント部会です。

部会長の冨永真史さん

経営マネジメント部会を立ち上げた八木さんは、50歳の時にそれまで勤めていた企業を退社し、農家になりました。会社員の経験から、農業にも経営という視点が欠かせないのではないかと考えました。

「会社員から農家になって、最初に実感したのは上司がいない素晴らしさ(笑)。当然、その分すべてを自分で決定しなければならない。会社と違って失敗したら0円。保証はないよね。クビになることもないけれど。大変だけど、日々新しいことを勉強する楽しさ、信頼できるいい仲間に出会えたことで日々充実していますね」

部会の活動としては、経営視点の農業を行う会社を毎年視察しており、特徴としては大企業よりも自分たちより”半歩先”を行っているところを訪問することが多いそう。2019年度は川根の『美味しいたけ』、2020年度は藤枝の『蔵田茶農園』を訪問。いずれの会社も若い人がいきいき働いているのを見て刺激を受けました。

「雲の上の存在みたいな大企業よりも、少し前に同じ疑問や悩みにぶつかっている彼らから学ぶことの方がよっぽど多い。相手側も、とても親身になって話してくれます」

メンバー同士、なにかしらの困りごとや関心事を日々共有しているので、今年はここへ行ってみよう、と視察の行き先は自然と決まります。

皆さん、常にアンテナを張っています。杉山さんは、15年前に種の保存の勉強に行ったオーストラリアで、フィンガーライムに出会いました。珍しい柑橘に出会って、これを育ててみたい!と思ったもののなかなか機会が得られず、今から10年前くらいにようやく日本で苗を見つけ、以来大切に育てています。

レモンやみかんの栽培経験が豊富な杉山さんでも、やはり生まれた環境が違う未知の柑橘を育てるのは難しいと言います。そして、販売につながるまでは、収穫量もまだまだ。木の数も徐々に増やしているけれど、苗が順当に育ったとしても収穫できるようになるまでに3~4年かかります。

農家は畑の整備など、直接的に利益にならない仕事がとても多い。しかし、やる人がいなくなれば荒れて町の景観も損ない、作物にも影響する。経営目線と栽培技術をより良いバランスで運営するために、仲間同士声を掛け合い日々努力を続けています。