O-CHA学研究部会
『地元の茶業を盛り上げよう』をモットーに活動しているO-CHA学研究部会は、地域の代表的な産業でありながら、元々あまり交流がなかったお茶の農家同士を繋げて情報交換をしたり学びを深めることを目的としています。部会が立ち上げられてから9年、メンバーは10人ほど。
お茶農家が多い島田で、その中でもお茶に特化した研究をしている部会で、活動のひとつとして特徴的なのが『お茶刈り大会』の開催。秋に島田市全域からお茶農家が切山の茶園に集結します。
「お茶どころらしいイベントでしょう。正式名称『乗用茶摘採競技会』という大会で、審査項目は『早く!綺麗に!安全に!』お茶を刈ることに限定したイベントです。お茶農家が日々の業務で行なっている技術を披露する場なので、和気あいあいとしながらも、みんな本気。ちなみに僕も過去2度出場していますが、2度とも優勝!そして気がついたら運営側になっていました(笑)」
島田の緑茶生産の歴史は長く、親世代から2代続く農家が多いのもこのエリアの特徴。
山あいの豊かな土地と穏やかな気候に恵まれ、のんびりした人柄の方が多いそう。よいことのようにも感じますが、それについては少々危機感を覚える、と渡邉さんは言います。
「お茶農家は長らく『作れば売れる』時代が続いていました。そのおかげで作る人も、買ってくれる人も、良くも悪くも欲がないんですね。これまでのやり方を続けてきて、それを良しとしてきた。でも時代はどんどん変化していくし、なにより自分は、それだけでは手応えがないと感じてしまって…」
人一倍、お茶愛に溢れる渡邉さん。
子どもの頃から親の仕事を間近に見て、お茶とともに育ってきた。そんな『お茶の英才教育』とも言える環境にあっても、知れば知るほどこの世界は深かった。まだまだ自分は知識が浅い、と痛感したそう。「このままじゃいけない」といろいろな研究会の門を叩き、お茶に関する知識を徹底的に学んでいきました。そしてO-CHA学研究部会としても、愛知県西尾、京都、鹿児島など全国各地の茶産地を訪問し、仲間とともに学びを深めて来ました。
部会の今後のミッションは、所属してくれた人の売り上げを上げることだと言います。
「実行したい奇抜なアイデアもたくさんあるけれど、まずは小さなことから。例えば、旬のものができました、というようなことは、生産者は当たり前に知っているけれど消費者になかなか届いていない。そういう大事なことをひとつずつきちんと伝えていくところから始めていきたいと思っています。」
お茶は今後どうなっていくと捉えているのかを尋ねると「お茶には可能性がある!だけど、メインストリームにはないんじゃないかと考えている」とのこと。今後のお茶界を変える起爆剤となる一歩が、ここから生まれるのかもしれません。
これまで長く培ったやり方を、決して否定するのではなく踏まえた上で、研究とトライを繰り返し、これからの新しい可能性を模索しています。お茶のあり方をどう変えてくれるのか、今後も彼らの活動から目が離せません。